※この記事は、過去の記事をリメイクしたものです。

皆様に、多くの曲になじんでいただきたいという趣旨で、
形式面だけを見て整理するセグメンテーション(ステップ1)
主要なフレーズの把握(ステップ2)
が多くなっていますが、
もう少し踏み込んで分析すべき曲も多いです。

最初に、モーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」の
第四楽章を取り上げます。
この曲は、モーツァルトの最後の交響曲であり、
それだけでも円熟味が感じられるわけですが、
実はすごい仕掛けが隠されているのです。

ちょっと前置き的な話をしますと、
音楽にはメインメロディーを主に
音楽を組み立てていくモノフォニーと、
対等な複数のメロディーの組み合わせで
音楽を組み立てていくポリフォニーという
構造があります。

音楽史的には教会音楽からポリフォニーが発展し、
バッハがその頂点を極めましたが
それ以降は、時代遅れの音楽として、
ポリフォニーはすたれていました。
モーツァルトは作曲家としてのプレゼンスを高める
という点で、ポリフォニーの価値を理解しており、
このジュピター交響曲の第四楽章で
モノフォニーとポリフォニーの融合を試みました。

つまり、この楽章は当時のモノフォニーの
代表的な形式であったソナタ形式
(第一主題と第二主題を中心に音楽を展開する形式)
でありながら、随所にポリフォニーが用いられている
という点で画期的であり、
モーツァルトの作曲技法の集大成と言うべき
比類ない名曲となっているのです。

以下のサンプル音源は私が作成したものですが、
この曲をソナタ形式として見た場合の
第一主題と第二主題をまず確認して下さい。